買い物に行きたいの、と冷蔵庫を覗き込みながらが言ったので、
それじゃあ日が暮れる前に済ましちまおうぜ、と答えて読んでいた雑誌を放った。
は財布と拳銃、俺は二挺拳銃だけ持って事務所を出る。
あれはいいのか、と玄関先で訪ねるとは「あっ」という顔をして事務所に駆け戻り、
しばらくして布製のトートバッグを手に戻ってきた。
いわゆるエコバッグだが、それが彼女のお気に入りだということはきちんと知ってる。
忘れるとこだった、ありがとダンテ。
が笑って、俺もつられるように笑った。




この辺りで金髪は珍しくないと思うけれど、銀髪はそうもいかない。
夕方前のお店は少し混んでいて、他の買い物客からの視線を感じていないはずがないのに
ダンテは気にもとめない様子で私の隣を歩く。
キッシュを作ろうと思って、生クリームと卵とブロッコリー、それから牛乳を買った。
あとはパンと、パスタと、トマトをたくさん。ついでに冷凍ピザとオレンジジュースも買った。
ふらりと隣を離れたダンテが戻ってきてカゴに入れたのはアイスとブランデー。
ブランデーはほとんどダンテが飲んでしまうけれど、アイスはちゃんと2つ入っていた。
仕方ないわね、と微笑むとサンキュ、と目を細めて笑う。
今日のディナーが楽しみだな。
楽しそうに言いながら「重いだろ」と私の手からカゴをさり気なく奪ってくれた。






「うわぁ、すごい夕焼け」
「思ったより遅くなっちまったな」
「お腹すいた?」
「そりゃあもう。今日のメニューは?」
「久しぶりにキッシュ作ろうかなって。ブロッコリーとベーコンの」
「ああ、あれ好きだぜ。楽しみだ」




好き、というダンテの言葉には嬉しそうに微笑んで、つないだ手に力を込めた。
それに気付いたダンテも片手のトートバッグを持ち直しながら唇の端を上げた。
夕焼けが二人の繋がった影を長く伸ばしている。










黄昏デュエット
















2008/08/28
今日のデザートはアイスとブランデー、そしてご馳走様のキス。