「今日という日がいつか必ず来ることは分かっていましたが、
まさかこんなにも早くあなたにお別れを言うことになるなんて、私も少し驚いています。
…ああ、そんなお顔をなさらないで。せっかくの優しいお顔立ちが台無しですよ。
聞いてヘイハチさん。うまくは言えないけれど、私は今、とても満ち足りている。
怖くないと言えば嘘になりますが、不思議と心は静かなんです。
足元がふわふわして…ええ、確かに少し寒いですけれどね。
きっと私はこのまま、あなたがいつか向かう先へとゆくのでしょう。
転んで着物を汚したりしないと良いのですが。
…行く先が違う? まさか、そんなはずはありませんよ。
私とて刀を手にした身。堕ちる先は同じです。
きっとあなたのお墓には菊の花とたくさんの握り飯が置かれるのでしょうね。
そしてあなたはそのことに微笑んで、私と同じ道をやってくるのでしょう。
待っていますよ。だからどうかヘイハチさん、気長に、ゆっくり、来てくださいね」
願い文
2008/02/17
それは遺書というにはあまりにも穏やかで、
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