「夜明けがくる。


そうね。灼けるような朝焼けが、もうすぐ。


「俺たちを引き裂く光だ」


…それは、出来れば私は否定したいんだけどな。でも出来ない。
あなたの言うことは、いつだって正しかったから。


「昔は好きだったはずなのにな。今では嫌いだ、この上なく」


二人で夜を過ごした日は、いつも空が色を変え始めるのを眺めてから寝直してたものね。
おかげでそんな日の朝食はいつも遅かったけれど。懐かしいな。
でも…すこし、寂しい。だって私は今でも好きだもの。
あなたの髪を金色に染めて、私の金髪とお揃いねって笑い合った、あの暖かい光。


「だって、消えてしまう。お前が」


……ごめんね。


「…なぜ謝る。お前は何も悪くない」


ごめんなさい、セフィロス。でもね仕方がないの。
私にも、どうにも出来ない。


「―――行くな」


…だめだよ。ねぇ。





お願い、引き留めないで。帰れなくなってしまう。
ほら、あなたにも見えるでしょう。はるか彼方で淡緑の海に寄り添うあの水平線が。
この星の海が朝陽に照らされたら、私の世界の時間は動き始める。


「どうしてこの世界は俺たちをこうも引き離そうとする?」


誰も、なにも悪くなんてない。
ただ少し時間と物事の歯車がうまく噛み合わなかっただけ。
だから、ね。セフィロス。そんな顔をしないで。
私もあなたも、他の人に比べたら少しだけ、タイミングが悪かっただけなのよ。


「俺を、置いていくな」


ごめんなさい。ごめんなさい。
でもね、分かって。私もあなたと一緒にいたい。今すぐあなたの傍にいきたい。
でも出来ない。この手を離して、お願いよ。

だってこれは、生きていた頃のあなたとの約束だもの。











だからお願い。
もう少しだけ、そっちで待っていて。






2006/08/19
わたしは生き続ける。
私の生を願ってくれた、あの日のあなたのために。