熟れた林檎
親友の好きだった花
家にあるネクタイ

ひるがえる上着の裾
街で見かけたマニキュア
くたびれた煙草の紙箱

会社の看板
仲間の髪留め
お気に入りのグラス

借りた本の背表紙
元同僚の髪色
宙を焦がす炎の一片

ボールペンのチェック
空を染める夕焼け
遠く煌めく星

回るサイレン
甘い夏野菜
身体を巡る体液


「でもやっぱり」
「…何だ」
「ヴィンセント、あなたのが一番だと思うよ」
「…。いつものことだが、主語をはっきりさせてくれないか」


あか。アカ。赤。
そしてそれは私を取り囲む世界で、たぶん一番綺麗な赤。

私を映すあなたの眼の色。





その
私は をした。








2005/10/10
Zファンの方なら気づく遊びが実はあちこちに。